コムスン指定打ち切りに関する報道について

厚生労働省が6日、コムスンの介護サービス事業所の新規開設や更新を認めないよう都道府県に通知した件について報じられており、私のところには、この事件についてのコメントを求める電話が入っていて慌ただしい。今回の一件で最も懸念されるのは、これまで同社のサービスを利用していた利用者、とりわけ介護保険サービスを利用している高齢者と介助者である家族の精神的影響である。

この精神的影響にはふたつある。まず、利用者にとってサービス事業者が変わることの負担である。とくに独居や高齢者のみの世代などは、サービスを提供するヘルパーなどがいなければ毎日の生活が続けるのが困難なケースも多い、「心から信頼しているなじみの関係が変わる」ことに対する不安は、一般の人が考える以上に大きい。約6万5000人に及ぶといわれるコムスンの利用者に配慮し、厚生労働省が、コムスンの全事業を同じグッドウィル・グループ傘下の介護サービス事業者、日本シルバーサービスへの譲渡を認めたようだが、処分が骨抜きになるとの声もあがっている。

しかし、グループ却下への譲渡が認められても、利用者は「今後この事業者にお願いしてもよいのだろうか」「事業者を変えたほうがいいのではないか」といった不安が抱えながら、今後の生活を続けていかなければならない。介護する家族は、毎日の生活の介助だけでも大変なのだが、さらに事業者のことで頭を抱えることになる。ちなみに、毎日の介助よりもむしろ事業者との関係のほうがストレスになっているという現実も多いように感じる。以前、六本木の本社で同社の常務取締役とお会いした。このときは同社の教育研修について話を伺った。これまでコムスンの訪問介護サービスを利用者していた方のなかには、「若い明るいスタッフが来てくれて助かっている」との声もあった。「まず利用者ありき」。

言うまでもないことだが、介護サービス事業者は、このことを忘れてはならない。