不安と不満の後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度の施行にあたり、現場では混乱が起きている。
病院の受付で高齢者は口を揃えて「なにがどうなるのかまったくわからない」と言う。

新しく変わる保険証が届かず、薬が欲しくても医師の診察を受けられない高齢者、保険料が増える不安で、食費を切りつめて生活せざるをえないと嘆く高齢者もいる。

だいたい制度の説明というのは、一般の成人でさえわかりにくい。後期高齢者が対象であるのなら、なおさらのこと、「わかりやすさ」が求められるのではないのか。
小さな文字が並ぶ書類が届いても、それを読むだけでも困難な高齢者は多い。

保険証が高齢者のもとにきちんと届かず、自治体に返送されているケースもあるという現実をみても、制度施行にあたっての準備不足という印象を抱く。

先日取材した病院のPTも不満を口にしていたが、今回の医療制度にしても、現場が余裕をもって対応できるくらいの準備や対応はできないものなのか。介護保険制度のスタート時もそうだったが、現場は制度にふりまわされて、あたふたせざるをえない状況だ。

「走りながら考える」とは言うが、走ってばかりでは息切れがする。