自分の疑問を無視しない勇気

近々出版予定の本、雑誌等の締め切りや現在通っている東京大学医療政策人材養成講座(HSP)の研究チーム(私を含め6名)の卒業研究に追われ、相変わらずせわしい状況。

私たちの研究チームは「在宅医療における医療材料の適正供給をめざして」というテーマで活動をしている。

入院中であれば病院から支給される医療材料は、在宅医療の現場では、医療材料の購入が患者負担となったり、訪問看護ステーションの持ち出しになっている現状がある。
この背景には、分かりづらい保険点数により往診医に医材提供の必要性が十分認識されていないことや、少数の患者のために常に材料を確保していくことが困難な現状もある。

つまり、A先生に往診してもらっていたときは吸引カテーテルは無料で支給されていたが、B先生に変わったら自分で吸引カテーテルを買わなければならなくなってしまったというように、非常にアバウトな状況になっているのが現状なのだ。こういう在宅医療の現状は、世間ではあまり認知されていない。私自身、在宅医療を必要とする患者の家族にならなければまったくわからなかったことだ。

実際、患者家族の当事者として、こうした疑問を往診医や医療機関などの周囲に投げかけても、理解されず、なんだか迷惑そうな顔をされ続けてきた。おかしいと思うことも受け入れるしかなかった。目の前の祖母をケアすることで精一杯だった面もある。

しかし、今、私が「おかしい」と感じていたことを理解し、受け止め、そしてともに課題に向き合ってくれようとする仲間ができたことをとても嬉しく感じている。そして感じていた小さな疑問や悩みが、じつはこれからの社会問題に発展する可能性を多分に含み、国として考えるべき課題に繋がることであることを、各関係者の取材を通して実感している。

患者や利用者の小さな声が、現状を変えるきっかけとなることもあるだろう。
小さな声を伝え、行動することで、今が変わることもあるかもしれない。


ホレーショーよ! 君が思っているよりも
もっともっと多くのことがこの世にはあるのだ。
ーー-ハムレット