自分のことだけでなく

2009年、本年もよろしくお願いいたします。

昨年の12月13日(土)、長野県須坂市で開催された「第33回地方自治研究須坂市集会」(市職員労働組合主催)での講演<地域医療・在宅医療のこれから>を行いました。
講演の様子は同年12月20日の「須坂新聞」で紹介されました。

須坂市にある県立須坂病院では、産科医不足のため、平成20年4月から産婦人科での分娩を休止しているようです。ホームページを拝見したところ、再開が決まったようで、現在は分べんの予定日が平成21年3月15日以降の方から受付をしていますが、須坂病院は周辺の地域で唯一、分娩施設を置いている病院ということで、これまで年に400件あまりの出産を扱っており、休止期間中、不安を感じたり、「須坂で産みたかった」という女性もいたようです。

さらに、講演に参加されたみなさんのなかには、県立病院の地方独立行政法人化、いわゆる独法化についての不安もあるようでした。今年9月に長野県がだしたマスコミあてのプレスリリースによると、県では平成22年4月を目標に、須坂病院など県立の5病院を地方独立行政法人へ移行する検討を進めているとのことです。

そもそも地方独立行政法人とは、という疑問に長野県の病院事業局は、地方独立行政法人法に基づいて県が100%出資して設立する法人で、設立者として、県も法人に対し、県立病院の経営や医療提供体制の整備に関与することが定められているとし、また、この独法化を検討した背景については、医師・看護師不足の深刻化、医療制度の改正や病院の収入である診療報酬の引き下げといった環境の変化に対応できる経営システムを導入する必要があることなどをあげています。

ちなみに、全国の自体体病院の経営状況についてですが、平成18年度決算では全国968の自治体病院のうち721病院が赤字、経常損失が2100億円となっています。

経営形態では合計120の自治体病院がなんらかのかたちで経営形態を変えています。なんらかのかたちといいますのは、民間委託が45病院、民間移譲が21病院、廃院や統合が16病院、診療所化が22病院、PEI方式(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金や経営能力、技術的能力を活用して行う手法)が5病院、そして独立行政法人化が11病院となっています。

講演で地方に出向くと、それぞれの地域が抱える医療や介護の問題に
向きあうことになります。

一方、先日のニュース番組では「突然解雇された元派遣労働者の力になりたい」と
自らすすんでボランティアを行った女子高校生の姿が映っていました。

自分のこと、自分のまわりのことだけでなく、各地で起きているリアルな現実を知り、
日本のこれからを建設的に考えていく姿勢をもちたいものです。