「生誕90年 古茂田守介展」のギャラリートークに参加

私は祖父母、両親ともすべて画家という環境で育ちました。
祖父古茂田守介は愛媛県の出身で、わずか42歳で亡くなりました。
生きていれば今年で90歳になります。

生誕90年にあたり、「生誕90年 古茂田守介展 -その線の美-」が愛媛県今治市にある
今治市玉川近代美術館にて開催されています。
この展覧会は、今治市と今治市教育委員会が主催、今治市立美術館共同企画展として
開催されるものです。

展覧会会期中にはギャラリートークも行われ、11月9日(日)には、銅版画である私の母が
「父・守介の思い出」というテーマで講演を行いました。
母は自分がどのように育てられたかというエピソードを語り、重く暗い印象をもつ守介の作品からは伺い知ることができない新たな一面を知った方も多かったようです。

いろいろな世代の方にお集まりいただき、今年2月に放映された番組「なんでも鑑定団」で紹介された作品についての質問もありました。
講演では途中で私も参加、母と私の対談形式で古茂田守介と美津子(私からみると祖父母)について語りました。

終了後も母が持参した祖父の写真、祖父が作った木彫りの呼び鈴、母をモデルとして守介が挿絵を描いた岩波文庫の小公子などの本を囲んで参加者の輪ができ、終了後も熱心な守介ファンの皆様からの質問が尽きないほどでした。
母も母もとても楽しい時間を過ごすことができました。

生誕90年 古茂田守介展 -その線の美-

・平成20年10月21日(火)~12月7日(日)
・午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) 休館日:月曜日
・観覧料 一般500円  大学・高校生400円 小・中学生250円
・会場 今治市玉川近代美術館・文化交流館
・主催 今治市・今治市教育委員会
・協力美術館 愛媛県美術館・久万美術館
・後援 愛媛県・愛媛県教育委員会・愛媛県文化協会・今治市文化協会・愛媛新聞社・
毎日新聞松山支局・読売新聞大阪本社・朝日新聞松山総局・産経新聞松山支局・
NHK松山放送局・南海放送・テレビ愛媛・あいテレビ・愛媛朝日テレビ・今治CATV

お問い合わせ 今治市玉川近代美術館 TEL・FAX0898-55-2738
今治市文化振興課 TEL0898-36-1608 FAX0898-24-2008

ギャラリートーク
10月26日(日)午後2時~午後3時
「古茂田守介の線について」
増田 和朗氏(元愛媛県美術館学芸課長、松山西中等教育学校教諭)

11月9日(日)午後2時~午後3時
「父・守介の思い出」
古茂田 杏子氏(古茂田守介・美津子の長女、銅版画家)


○「生誕90年 古茂田守介展 -その線の美-」
今治市教育委員会文化振興課のサイトで、古茂田守介のプロフィール、同展の展示作品
などの詳細がご覧になれます

<上記サイトより(一部抜粋)>
 生誕90年を記念して、代表的郷土作家の一人、愛媛県出身の古茂田守介(1918-1960)の作品を展示いたします。
 古茂田は愛媛県松山市生まれ。1937年(昭和12年)洋画家への道を歩む兄、公雄を頼って上京、中央大学法科夜間部に入学します。公雄の紹介で猪熊弦一郎や脇田和にデッサンを認められ師事します。1940年(昭和15年)新制作協会展に《裸婦》が初入選、1946年(昭和21年)新制作協会展に《踊り子達》《臥せる女》を出品し、新作家賞を受賞、その後も精力的に出品を重ね、初個展も開催しました。
 状況戦後まもなく絵画のモダニズムがひとつの行き詰まりを見せ始めた頃、感情的気分の濃厚な作品からそれらを排徐するかのように叙情に流されず絵画の造形性を具象で追究しました。抽象が全盛を迎えようとする時勢の中で、確固とした造形性をもたせることで具象絵画の可能性を切り開こうと苦悩し、暗い色調ながら人間的な温もりと存在感のある重厚な作品を制作しました。「色彩よりカタチに重きをおき、色を殺す」ようにして色彩の鮮やかさや華やかさを極端に抑制し、彫刻的に量品感や実在感を強く表現した古茂田の作品は地味で静かですが、個性の強い作品です。
 今展はとりわけ古茂田が自分の芸術に生命を吹き込んだデッサンを中心に、病気と闘いながら、精一杯生き、仕事し、家族や友人を愛した古茂田の作品を今ここで再確認し、郷土が生んだ魂の画家にふれ、鑑賞者がひとつひとつの作品を深く味わうことによって、彼の魅力を再発見してほしいと心より願っています。

○asahi.com、NHK松山「おはよう四国」などでもご紹介頂きました